第5章 夏休み
ジリジリと照り付ける太陽 止まないあぶら蝉の鳴き声
学校は長い休みに入り夏は真っ盛り。
エアコンの効いた居間でアイスをかじりながら本のページを捲る
夏の昼下がり、外に出る気など到底起きないし夏休みに入ってからというものほぼこうして本を読むか、お婆ちゃんとTVを観たりのんびりと過ごしている
部活も入ってないし出掛ける相手も予定もない私は このまま何もせずに夏休みが終わってしまうんじゃないかと思う
夏休みって長いなぁ……
とっくにアイスは食べ終わったけど、口寂しく残った棒を噛んでいると、
ガラガラ
玄関が開く音が聞こえ本に栞を挟み棒をゴミ箱に投げ入れる
「ただいま」
『お婆ちゃんおかえり、暑かったでしょ?』
朝畑で採れた野菜を信ちゃん家にお裾分けに行くと言って帰ってきたお婆ちゃんは「ほんと毎日暑いねぇ」と目元に皺を寄せながら手に持っていた水羊羹を差し出してきた
「北のお婆ちゃんから、ちゃんにって。」
『わ、ありがとう。』
信ちゃんのお婆ちゃんは毎回私に、とお茶菓子を持たせてくれるのだ。
アイスを食べたばかりだけど冷たいうちに、と思い早速蓋を開け付属のスプーンで掬い口へ運ぶ
『美味しい〜!』
つるん、とした食感がたまらない
そんな私を見てお婆ちゃんはフッフッと笑みを溢している