第1章 はじまり
そして両親の離婚を機に東京からここ、兵庫へと引っ越し母の実家で暮らす事になりーーー
信ちゃんと出会った
家がすぐ近所でお婆ちゃん同士が仲が良い事もあり、何かと顔を合わせる事が多く、他に誰も知り合いがいない私にとって信ちゃんと親しくなるのにそう時間はかからなかったと思う。
信ちゃんは今まで周りにいた男子とは違った
真面目で物静か、清潔感のある見た目
纏う空気はどこかピリッと硬くて、最初はその独特の空気感に緊張して上手く話せなかったけど…
今はその頃の緊張とは違うドキドキを感じる。
「は頑張り屋さんやな」
普段おちゃらけない人の笑顔ほど破壊力は半端ない
勉強を頑張っていると頭を撫でて褒めてくれたし
お婆ちゃんの手伝いをしていると「えらいなぁ」と笑いかけてくれた
信ちゃんは優しい
こんな私でもちゃんと見てくれて褒めてくれる
褒められるってこんなに嬉しいんだ……
キッカケは"褒めて欲しい"から始まった小さな芽が、気付けばどんどん大きくなっていってーーー
気付いたら"好き"に変わってた