第3章 出会い
「あ。先に言うとくさかい、キスしたからって勘違いだけはせんといてな?女の子達とは広く浅ーく付き合うのが俺のモットーやから。」
は?
耳を疑うようなセリフにバチっと目を開けると、鼻先が触れそうな程の距離に均整のとれた顔があった
この男、さっきからペラペラと何様のつもりだろう…⁇
女子が誰しも自分に好意があるとでも思ってるのだろうか?
だとしたらとんだ勘違いだ。
『・・・・自惚れないで。』
口から漏れる本音
けど情け無い程小さかった声は届いてないようで
「は?何て⁇てかキスしたことないん?
こーゆう時は黙って目閉じんねん。」
ブチッ
あまりに自分本位な態度に我慢の限界がきた
『自惚れるなって言ってんのっ‼︎この勘違い野郎っ‼︎』
グニッ
私は勢いよく宮侑のつま先を踏みつけた
「い"っ、、、‼︎」
声にならない声を上げ宮侑が蹲った隙に、私は鞄とノートを抱えてその場から逃げ出した
後ろで何か言っていた気がするけど、そんなの知った事じゃない
廊下を走り抜け、昇降口まで来た所で息を整える
ハァ、ハァ、ハァ、、、
徐々に冷静になる頭で自身の行動を顧みる
頭にきたとは言え、つま先を踏みつけたのは良くなかったかもしれない…。
罪悪感がじわじわと込み上げてくる
宮侑はこれから部活、つまり信ちゃんの所へ行くわけで。
足が痛い→練習が疎かになる→チームの足を引っ張る🟰信ちゃんに迷惑が掛かる
頭の中で方程式が出来上がりサーっと顔が青ざめる
今から謝りに行こうか…?
けど謝ったところで足を踏みつけた事実は変わらないし、そもそもあれは正当防衛だ。
ーーーーうん、私は悪くない。
そう自分に言いきかせ、この日は大人しく帰る事にした