第14章 秋、深まる
「⁇」
『えっ?あ、何⁇』
「ボーっとしとるから。チャイム鳴ったし教室戻るで?」
『ご、ごめんっ!今片付けるね。』
「私、次移動やから先戻るわ!」
お先〜!と足早に去る野崎さんを見送りながら慌ててお弁当を片付けていると、
「ツムの事、気になるん?」
治君が顔を覗き込んできた。
『え……?』
「いや、何か考え事しとるようやったから。
ツムの事考えとったん?」
『あー…違う違う!ほら、午後は文化祭の準備があるからちょっと色々考え事してただけ。これから準備で放課後は残る事多くなると思うから帰り、待っててもいい?』
「おん、てか一緒に帰れんのは嬉しいけど実行委員やったっけ?」
『ううん、黒沢さんが実行委員なんだけどね。私は部活入ってないし放課後は時間あるから手伝おうと思って。』
「そっか、けどあんま遅くまで残ったらあかんで?無理して待たんでええから。」
そう言いながら治君はさりげなく私の手を取った
『うん』と頷くと長い指が絡み所謂恋人繋ぎにーーー。
「あー…もっととの時間が欲しいわぁ。昼休みだけじゃ足らんし、、、」
拗ねたように下唇を突き出す治君がちょっと可愛い。
『クラスが一緒なら良かったのにね。』
「せやなぁ。ツムとすり替わりたいわ。」
『フフッそれすぐにバレるでしょ?顔は同じでも治君と宮侑は全然違うよ⁇』
「中学ぐらいまではいけたんやけどなー。」
『えっ?いけたの⁇』
「いけた。3回くらい。」
そんな話しをしながら階段を降りたところで大きな手が離れる
「ほなまた後でな。」
『うん、また後で。』
いつものようにバイバイと手を振ろうとした時、治君がチラッと辺りを見回した
『⁇』
どうしたのかな?と思った次の瞬間
唇が重なった