第13章 2回目の夏
ビショビショの髪を掻き上げながら子供をおちょくってはケラケラと屈託なく笑う宮侑
・・・・・
楽しそ。
「・・・・珍しいな」
『えっ?何が…?』
「今ツム見て笑っとったから。いっつもこんな顔でツムの事睨んでるやん?」
治君は大袈裟に眉を寄せて目を吊り上げてみせる
『ちょっ、いくらなんでもそんな険しい顔してないから…‼︎それに別に睨んでるつもりは………』
ない、事もない。。。
思い当たる節は多々あり口籠るように俯くとーーー
「・・・・。」
横から手が伸びてきたかと思うと突然、両頬をムニュッとつままれ強制的に顔を上に向かされた
『⁇』
唇を突き出し恐らく間抜けな顔になっている私を、
治君は真っ直ぐ見つめてくる
「俺のこと、見て?」
『っ、、』
「そんで俺の事で頭いっぱいにして?」
頬を摘む長い指から伝わってくる熱
綺麗な瞳は少し自信なさげに揺れていて、まるで俺を見て欲しいと熱願されてるようで………
いつも飄々としてる治君にこんな顔をさせてしまった自分がまた嫌になる
話さないと。
私の今の気持ち、ちゃんと話さなきゃ。
治君は何か空気を感じ取ったのか頬から指を離し苦笑いを浮かべた
「すまん…。告白の返事急かしとるワケちゃうねん。が隣におると何か気持ちの我慢、出来んくなんねん……待つって決めたのに、あかんな(笑)」
『・・・・・あの、治君。』
「え、、、何?そんな急に改まって姿勢正されたら怖いわっ‼︎いきなり振るとか無しやで⁇心の準備、、てかさすがにこの後上手く立ち回る自信ないで⁇⁇」
あかんあかん!と慌て出す治君の指を、今度は私がそっと握ってみる
「っ、、、?」
『上手く伝えられるか分からないけど……今の私の気持ち……聞いてもらえる、かな……?』
「お、、おん、、、」
治君は頷きながら私の顔と握った手を交互に見ている
こんな風に改まって気持ちを伝えるのって緊張するな……
一度深呼吸をして気持ちを落ち着かせる
『・・・・治君は私にとって凄く大事な人、です…。』