第10章 2回目の春
終始熱気と歓声に包まれる中、紅白戦はあっという間に終わった
「はぁ〜〜…身内同士の紅白戦とはいえめっちゃ凄かった〜‼︎間近で観るとやっぱ迫力ヤバない⁇」
『うん…。何か手に力入りすぎて汗かいちゃった…』
「分かる〜!応援しかしてないけどマラソン走った後ぐらいの脱力感あるもん。」
バレーボールのルールすらもよく分からずに観戦したけど、いつの間にか試合に釘付けになっていた
私がまだ中学生で信ちゃんがバレーを始めた頃、バレーに興味がない私に信ちゃんはよく面白さを熱弁してくれたっけ。
こんなに面白いならもっとちゃんと聞いとけば良かったなぁ…。
そんな事を考えながら前の人に続いてギャラリーから下へ降りる階段を降りていると
「おいサム!さっきの中途半端なプレイ、あれは何やねん。」
クールダウンのストレッチを始めたと思った矢先、宮侑が声を荒げた
撮影スタッフやほとんどの見学客が出て行ったとは言え、体育館内が一気に静まり返る
「・・・何や中途半端って。」
「俺がセットしてるんやから打ち切れ言うとんねん!
あんなショボいスパイクしか打てへんのやったら1年にポジション譲った方がええんちゃうか?」
「ぁあ?もーいっぺん言うてみぃ」
「何遍でも言うたるわ!決めきれないポンコツはベンチでもあっためてろって言うてんねん。」
ーーーーうわ、さすがに言い過ぎ……。
きっとこの場にいた誰もがそう同じ事を思った次の瞬間、治君が宮侑の胸ぐらに掴み掛かった