第10章 2回目の春
何事かとコートに目を向けると宮侑が上げたトスに合わせ治君が強烈なスパイクを決めていた
『・・・・‼︎』
「相変わらず凄いなぁ〜双子。」
凄いっていうのは耳にタコが出来るくらい耳にしていたけど……
初めて2人のプレイを目の当たりにしてその意味が少し分かった気がする。
それぐらい衝撃的だった。
普段気怠げな治君とチャラついてる宮侑。
見た目が良いのは認めるけど、ファンクラブが出来るほど人気があるのは正直自分には理解出来なかった
ーーーけど、今なら少し分かってしまいそうな自分がいる
人を惹きつける何か。
それは多分"カリスマ性"ってやつなのかもしれない
「侑〜〜♡」「こっち向いて〜〜♡」
「治君ナイスキー‼︎‼︎」
団扇を振る女子の黄色い声に宮侑は笑顔で片手を挙げ応えてるけど、治君はギャラリーには見向きもしない
そんな対照的な2人に向けられるのは声援だけでなく、取材のカメラも向けられていた
ーーーーカメラマンに記者っぽい人もいるけど……
『あの取材って地元の広報誌的なやつ、なのかなぁ…?』
ふと疑問に思い口にすると、黒沢さんが勢いよく否定してきた
「ちゃうって‼︎雑誌の撮影やで⁈バレーボール雑誌にあの双子が載るんやって!」
『えっ⁇雑誌…⁇』
「あの2人、春高で一気に注目されたやん?高校バレー界最強ツインズ、やって。今やすっかり名実共に有名人やなぁ。」
ーーーーそう、、なんだ…。
知らなかった。
雑誌に載るなんて凄い、ほんとに有名人みたい。
・・・・ん?雑誌って言えば前に治君と本屋に寄った時……
高校バレーの特集ページを読んでいた治君に"来年は治君が特集ページに載ってるかもね"なんて話しをしたっけ……。
それが今まさに現実になったって事、、、⁈
『凄い……』
驚きを通り越して感嘆のため息が漏れる
宮侑は別として、治君とは気が合うし仲良くさせてもらってるけどーーー
やっぱり住む世界が違うんだなぁ…。
最初から分かってた事だけど改めて思い知らされた