第10章 2回目の春
脳内に同じ顔をした双子が思い浮かぶ
うーん…。。。どっちだろう?
黒沢さんの手には団扇は握られてない。
侑ラブや治ラブなどと書かれた団扇を持ってれば好きな相手は言わずもがな分かる
けど残念ながらそれらしき物は何も持ってない。
でも多分黒沢さんみたいなタイプの人はーーーー
「私、、、銀島君が好きなんよ、、、」
『あー、やっぱり。・・・・って、えぇっ⁇⁇』
てっきり治君の名前が出てくると思いきや、黒沢さんの口からは全く別の名前が出てきた
『ぎ、、銀島、、、銀島君?』
バレー部員なんだろうけど初めて聞く名前だ。
「そう。1組の銀島君。実は……小学校からの幼馴染で……。」
『小学校⁇それってもしかして、、、初恋だったりとか、、、?』
遠慮がちに聞いてみると黒沢さんは照れくさそうに頷いた
『凄い、、、そんなに一途に想ってるなんて…』
「いや全然凄ないで?ただの臆病者やし…。
まともに話し掛けられんと遠目で見て満足してるだけやから。
てか同じ高校にまで入るとかキモいやろ?」
自嘲気味な笑みを浮かべる黒沢さんに私は大きく首を振った
『キモくない……ちっともキモくないです。』
「・・・・さん…」
『実は私も好きな人追っかけてここに入ったから。
だからその気持ち、凄く分かります……。』
「ええっ⁈そうなん⁇めっちゃ意外‼︎
じゃあさんの好きな人もうちの高校にいるって事やんな?
てかもう彼氏とかやったりして?」
『あー、、、それは残念ながら…。もう振られちゃいました…』
困ったように笑いながらこめかみのあたりを掻くと黒沢さんの眉が八の字に下がった
「・・・知らんかったとはいえ、変なこと言うてごめんなさい。」
『ううん、全然。今は前向きになれてるから大丈夫です。』
笑みを向けると、黒沢さんもホッとしたように表情を緩めた。