第10章 2回目の春
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黒沢さんの話によると、今閉め切った体育館の中では宮兄弟の取材、インタビューが行われていて、それが終わり次第撮影を兼ねて紅白戦が行われるらしい。
紅白戦は見学、応援の許可が出てるようで扉の前の女子達はそれを今か今かと落ち着かない様子でスタンバイしているのだという。
そんな集団から少し離れた場所で私と黒沢さんは身を小さくして話し込んでいた
「普段バレー部の練習って見学出来ひんから身内同士の紅白戦とはいえそれが見れるなんて超貴重なんよ。」
『へぇそうなんだ……知らなかった。』
信ちゃんに片思いしてる時はいつも練習終わりを待ち伏せしてたからな…。
入学したての頃の自分を思い出し、懐かしさとほんの少しの切なさが込み上げる
そこでふと、バレー部の話を頬を赤らめながら力説する黒沢さんの姿を見て、ある事が頭に浮かぶ
ーーーー誰かに片思い、してるのかな?
黒沢さんはクラスの女子の中ではあまり目立たないタイプだ。
肩まである黒髪は一つに結き、私と同様膝下のスカート、所謂地味な部類の女子。
ちょっと通じるものがある。。。
だからか、自分と少し重なって見えて……
いつもならこんな事口走らないのに彼女の恋を応援したい、と思ってしまった。
『もしかして黒沢さん、バレー部に好きな人がいる……とかですか?』
私の言葉に黒沢さんの目が丸くなる
そして分かりやすい程に顔を赤くし狼狽えだした
「えっ?あっ、、えぇ〜っと、、、その、、、う、うん。」
わぁ……‼︎
小さく頷く彼女を見て、何だか私までドキドキしてきた
となるとやっぱり相手はーーーーー