第10章 2回目の春
ーーーあ。
「あれ?ちゃんじゃん。」
バレー部の角名君だ…。
あまり会話をした覚えはないけれど、彼は何故か私を下の名前で呼んでいる。
『・・・・どうも…。』
軽くお辞儀をすると、角名君は切れ長の目をさらに細めた
「なんか楽しそーなクラスになりそーだね?」
『・・・・。』
ーーーいや、全然楽しそうじゃないんですけど。。。
意味深な笑みを向ける角名君とは対照的に口元を引き攣らせた
「そーだ。とりあえずさ、ちゃんと仲良くしたいから連絡先交換しようよ。」
『・・・え?』
「携帯、教えて?」
あまりにサラッと連絡先を聞かれ思わずフリーズしてしまう。
ーーーー私の、、、連絡先??
ぱちぱちと目を瞬かせていると、スマホを片手に角名君は手の平を顔の前でヒラヒラと振ってきた
「おーい、大丈夫ー?携帯持ってるでしょ?」
『あっ、、、はい…。えっと、、、連絡先って私の、、、ですか?』
自信なく尋ねると、角名君がプッと吹き出した
「え?逆に誰がいんの(笑)?」
『あ、、、すいません…携帯、最近持ったばかりで。
まさか誰かに連絡先を聞かれるなんて思ってもみなくて……。』
「え?最近⁇ちゃん携帯持ってなかったの?」
角名君はこれでもかとばかりに目を見開いた。
『はい…。』
「マジかー。え、じゃあさ俺以外にちゃんと連絡先交換した人って誰?」
『えっとー……野崎さんと、信ちゃんと治君、だけですけど…。』
何でそんな事知りたいんだろう…?
不思議に思いつつも素直に名前を挙げた。
角名君は「へぇ〜。」と相槌を打ちつつ、後方が気になるのかチラリと視線を向けたかと思うとすぐに視線を戻し口の端を持ち上げた