第9章 初恋のおわり
「せやから何かちゃんの事、他人事に思えんくて。
無理矢理こんなとこまで連れて来てもうて……ごめんな?」
『いっ、いえ‼︎私の方こそ何も知らずに失礼なこと言ってごめんなさい…』
「ふっ、そんなんええよ〜。
それよりちゃんの方は大丈夫?泣きたかったら胸、貸すで?」
ポン、と自分の胸を叩きながら笑顔を見せる野崎さんに、私は大丈夫だと首を横に振った
「昨日いっぱい泣いたんで。それに私は何回も告白するガッツはないし………前、向きます。』
「え〜〜⁈まだたったの1回やで⁇あと2回は告ろ‼︎失恋同盟結んだ仲やん〜」
『・・・嫌ですよ(笑)私のメンタルそんな強くないんで…。』
「・・・てかちゃん。さっきから私の事ちょっとディスってへん?」
『・・・・・・いえ、』
「その間はアウトやで。」
『すいません(笑)』
堪らず吹き出すと、お互い顔を見合わせて笑った
「せやけどさ、北君とちゃんの関係、私は羨ましいって思ってるんよ?」
『え?羨ましい……?』
「うん。友達でも彼女でもない特別な感じ。
北君がちゃんを大事にしとるのは側から見てもひしひし伝わってきたで?」
野崎さんの言葉にまた涙が出そうになってしまう。
だって信ちゃんは本当に私を大事にしてくれてたと思うから。
優しくて思いやりがあって、時には過保護な面もあったりしてーーー
『・・・・はい。ホントのお兄ちゃんみたい、、でした…。』
分かってた。
信ちゃんが私の事を妹のように思ってた事
恋愛感情じゃないって事
それでも、もしかしたらって
どこかで期待してしまった
ズズッと鼻を啜る私の肩を野崎さんは抱き寄せた
「そんなんめっちゃ大事にされとる証拠やん、羨ましいわ。」
『・・・・はい。』
それから私達は授業の事など忘れて色々な話をした。
信ちゃんの天然ぶりや野崎さんの面白恋愛トークなど、久しぶりに声を出して笑った気がする
重かった頭と沈んだ気持ちはいつの間にか軽くなっていた