第9章 初恋のおわり
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1限目が始まるチャイムが鳴っても私と野崎さんはベンチから立つ事はなく、すっかり話に夢中になっていた
「いや、もうね、3回めにフラれた時はちょっと笑ってもうたよね(笑)」
『さ、3回⁇3回も信ちゃんに告白したんですか⁇』
「うん、そうやね。1年の夏と冬、あと2年になってすぐやったかなぁ。ぜーんぶ玉砕(笑)」
『・・・・。』
驚きの連続だった
まさか野崎さんが信ちゃんにフラれていたなんて…。
それも3回も……。。
何て言葉を返したら良いのか分からないでいると、野崎さんがフフッと声を出して笑った
「北君があまりに靡いてくれへんから私聞いたんよ。
"さては女の子より男が好きなんやろ?"って。」
『えぇっ⁈』
「フフッ、そしたらあの真面目な顔で"女の子の方がええに決まっとるやろ"ってちょっとムッとしてたわ〜(笑)」
『それは、、、まぁそうですよね…。』
「・・・でも、やっぱり何度フラれても諦めきれんくて。
3回目にフラれた時、ちょっと強引に迫ったんよ。
恋愛感情無くてもえーから試しで付き合おうって、うちら気は合うしきっと上手くいくからって。」
それまであっけらかんと話していた野崎さんの声色が憂いを帯びたものに変わる
「普通は付き合うやん?男子高校生やで?欲に負けるやろ……」
『・・・・それも信ちゃんは断ったんですか…?』
野崎さんはコクッと頷くと自嘲気味な笑みを浮かべた
「中途半端は嫌いやねんって。
今はバレーボールが1番やから彼女は作られへんってキッパリ断られたわ。そこでもう色仕掛けも効かんしさすがに諦めようって思った。」
ーーーー野崎さん…。
そんなに信ちゃんの事好きだったんだ……。
だった。じゃない、きっとまだ好きなんだろうな……。
それは野崎さんの横顔を見れば何となく伝わってきた