第9章 初恋のおわり
「今日は風が冷たいね〜」
風が2人の間を吹き抜け野崎さんの髪を揺らし、フワリと花の香りが鼻を掠める
隣でマフラーを首にぐるぐると巻く野崎さんを横目に、何だか居心地が悪くて背中を小さく丸めた
黙って屋上まで着いて来たけど私に何の用があるんだろう。。。
殴る気は無さそうだし私の鞄もあっさり返してくれたし……
気まずいしもう教室戻ってもいいかな……。
そんな事を考えてると野崎さんが口を開いた
「そんで?目、そんなに腫らしてどないしたん?」
『え…?』
顔を上げると、眉を下げ優しい笑みを浮かべる野崎さんと目が合った
ーーーもしかして私の事、心配してくれてる…?
話を聞くためにここに連れて来たのかな?
だとしても、さすがに信ちゃんにフラれたとは言いにくい。
何か上手い言い訳はないかと視線を彷徨わせていると、
「失恋でもした?」
『っ、、、』
「そっかぁー…。」
いきなり図星を突かれあからさまにに動揺する私を見て、野崎さんは察したらしい
「・・・・相手は北君、やんな?」
『え……何で、、?』
「ちゃん、めっちゃわかりやすいもん。
最初見た時は治くんの彼女かなって思ったんやけど、そのあと北君と話しとる時のちゃんの顔見たら一発で分かったで?」
私、そんなバレバレだった、、、⁇
思い返してみれば宮侑にも同じような事言われたし、治君にもバレてたし…。
ーーーホント恥ずかし過ぎる。
みるみる顔が赤くなる私を見て野崎さんはクスクスと笑みを溢している
「ほんまちゃんのそーゆーとこ可愛い♡
てかそんな熱視線に北君は気づいてへんようだったけどなぁ。」
『ーーーーですね…』
寒空の下に流れる沈黙。
重くなった空気に耐えられず黙って俯くと、鞄に着けていたマスコットが目に入った