第9章 初恋のおわり
「おっはよ!ちゃん!」
『ひぃっ!』
突然後ろから肩を叩かれ変な声が出てしまった
「プッ、ちょっと〜そんな化け物扱いせんといてくれる〜?」
振り向くと朝から爽やかに笑う野崎さんが立っていた
『すっ、すいません…。おはよう、ございます……。』
「・・・・・・ちょ、何かあったん?」
顔を見られたくなくて咄嗟に俯いたけど、野崎さんの目は誤魔化せなかったらしい
こんな時、会いたくなかった
キラキラとしたオーラを放つこの人の顔は今は正直見たくない
自分の姿が余計に惨めに思えるから……。
下を向いたまま、ぎゅっと鞄を持つ手に力が入る
『別に…何もありません。』
小さく呟き、逃げるようにその場を去ろうとしたけれど、
「ちょっと待って!」
『っ⁇』
長い手が伸び、私の腕から鞄を奪い取った
『え、、、?』
突然の行動に私は口をポカンと空け、呆気に取られていると野崎さんは口に綺麗な弧を描き首を傾けた
「ちょっと顔貸してくれる?」
『・・・・。』
美人の笑顔が怖い、と思ったのは初めてだった。
くりっとした目からは圧が感じられ、とてもじゃないけどNOとは言えない雰囲気が漂っている
ゴクッと唾の飲み、首を縦に振ると野崎さんらさらに笑みを深めた