第1章 禍根【江戸後期:鬼舞辻無惨】
だが、いくら涙を流させようと、その瞳は絶望に堕ちても、口元が恐怖におののいて震えが止まらなくとも、女の使命感と深い憎悪が消え失せることはなく、燃え盛るようにも思った。
苛立ちに任せて、そのだらしなく蜜を垂らす蜜壺に己の滾った杭を打ち沈めた。
「あ”あ”あ”っっ!!」
反り腰になって、突き出すような形になった美しい双丘の曲線にむしゃぶりつくし、己の腰を振った。
抵抗することが出来ないほどに気をやってか、されるがまま私の律動にしたがってその華奢な体躯を揺らす。
泣きじゃくる声が酷くなり、私から目を反らし叫び続ける様に怒りがわき、ただ怒りに任せてその体に鞭打つように欲と怒りをぶつけた。
結合部がたたき合う卑猥な音と悲鳴が部屋に響く。
誰もわたしに逆らえぬ以上助けにも来ない。
ただ、己が気が済むまで、抵抗意識をなくし、ただ揺さぶられてよだれを垂らし、喘ぎ声も抑える気力もなくなるまでひたすら怒りをぶつけた。
朝日が昇るまでに繰り返された行為で意識すらとばした紗枝に襦袢と着物を着せて寝室へと運んだ。
「…さい……。ごめ…な…さ…」
とうとうと流れ落ちる涙はまだ、完全に絶望に陥っていないことを知らしめる。
「貴様は…」
私は、自分の心を支配できないという、初めての事実に気づき、激しい怒りと共に、言いようのない孤独感に襲われた。
私の力は、彼女の体を支配することはできても、彼女の心を屈服させることはできなかった。
「私の手で壊したい…」
私は、自分の心を支配できないという、初めての事実に気づき、激しい怒りと共に、言いようのない孤独感に襲われた。
「なに…。まだ、まだ…時間はある…。
全てはわたしの思いのままになるのだ…」
寝室へ運んだ眠ったままのその体に手枷と足枷を付ける。
せめて、私の目の届くところへいれば、この女を支配できるのだ。
征服できるのだ。
そう言い聞かせながら…。