第2章 推しからの求婚が止まりません
少し早い帰宅になりましたが、概ね、必要なものは揃える事は出来ました。洋服などは、よく分からなかったので彼にお任せした結果・・・えらい大量の普段着やらドレスに留まらず、宝飾品まで揃えられていました。
何年働けば、これらの費用を返せるのか見当も尽きません。普段着でさえも、質がいいものだと分かるのです。そして、お願いしたのはエプロン。
そのエプロンを早速着ては、夕食を作ることになりました。伯爵家の料理長はイアンさん。ルキウス様からもお声を掛けて頂けていた様で、私は無碍にされることはありませんでした。
「卵料理と聞いたけど、何を作るんだ?」
「オムライスです。焼いた卵を一工夫します。」
「見ていても構わないか?」
「はい。」
料理長を追い出す訳にはいかない。調理室を使わせて貰うのだもの。お米は最初からある様だから、先に仕掛けました。鶏肉やピーマンなどの材料を揃え、チキンライスを作っていく。ケチャップは擬きを作れたのでそれで代用。
付け合わせのサラダや、スープなども私好みのものを作っていく。ドレッシングも簡単な自作である。チキンライスが出来上がれば、後は卵を焼くのみ。
前世で練習したドレスオムライスの為に、注意深く卵にひだを付けていく。うん、練習した甲斐があった。それを装ったチキンライスに乗せて、後は周りにケチャップを掛けました。
「これは美しい見た目だな。それに、このケチャップライスというのも美味い。明日から俺もこれを作れる様に練習しよう。」
ルキウス様とルクター様と私の分、そして料理長さん用の四人分だけ作っただけだ。直ぐにメイドさんたちが運んでくれて、三人でのディナーとなった。
私はというと、心臓がバクバクしている。二人は同じ様にオムライスのお皿を持ち上げて、色んな角度から眺めている。
「あの・・・温かい内に食べて頂いた方が・・・。」
あ、二人の動きが止まった。仲良し親子だな。そして、少し恥ずかしそうに一掬い取っては口に入れて固まった。アレ・・・二人揃って、口元を手で覆っている。これはどういう意図があるの?
「「これは、美味しい・・・。」」
良かった、ホッとした。サラダも一口口に入れて、同じ様に口元を手で覆う。癖なのかな?あ、スープも飲んでくれた。また、同じ仕草だ。面白い様に、料理が減っていく。