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その琥珀色の瞳に映るのは・・・

第1章 ゲームの世界に転生を


こんなのを?と、目が物語っている。

「ご冗談でしょう?」
「その言葉こそが、ご冗談でしょう。貴方方のせいで、私がフラれることになれば恨みますよ?これも冗談なのではありません。ですので、消えてください。」

彼が怒っている。

「で、ですが、ステイサム様は私の従姉妹との縁談がありますよね?」

縁談・・・そうか、ゲームの中で婚約者となる人が彼女の従姉妹だということ。話しはそこまで?

「昨晩、そのお話しならお断りさせて頂いています。私は運命の女性と出会えたのですから、恥も外聞もかなぐり捨て口説いている最中なのです。」

確かに、彼の押しは強い。でも、貴族との縁談を蹴ったなんて知らなかった。

「差し出がましい様ですが、ステイサム様は伯爵家の次期ご当主がお約束されておいででしょう?でしたら、同じ貴族のご令嬢とおつきあいされた方が宜しいかと思うのですが?」

彼はそれを聞いて、ため息を吐いた。

「お節介ですね。気分が悪いので、これで失礼させていただきます。参りましょう。」
「は、はい。」
「あ、あのっ、ステっ!!?」

それでも引き下がろうとしなかった一人の令嬢が前に出た時、彼は「黙りなさい。」と、それは静かで有無を言わせない強い声が発せられていた。

令嬢たちは固まったので、彼はそのまま私をその場から連れ出した。知ってはいたけれど、彼はよくモテル。普段は物腰が柔らかいから余計にだ。

あんな風に怒りを露わにする人じゃなかったはず。

「すみません、驚かせてしまった様ですね。」
「い、いえ、ルクター様が悪い訳ではありませんし、言われた内容も最もだと思いますので。」
「本当に、貴女のその奥ゆかしさを彼女たちにも見習わせてみたいものです。」
「それに、仕方ありません。ルクター様はとても素敵な方ですから。」

ゲームの中でも、言い寄られている事もあったのだ。

「私の思い違いでないのなら、貴女も私を悪い様には思っていないのだと解釈してよろしいのですかね?」
「わ、悪い様にだなんてとんでもないです。」
「それを聞けて安心しました。これが切っ掛けでフラれることになれば、どう責任を取らせようか考えないといけないところでしたので。」

あぁ、いつもの笑顔だ。でも・・・どうしてだろう?その背後に黒い羽根が見えた気がしたのだけど。
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