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その琥珀色の瞳に映るのは・・・

第4章 その手を振り払ったのは・・・


「スミレには、私が傍にいる。そんな不安そうな顔をしないで。愛しているよ。」

私を抱き寄せ、頭にキスする。優しくて甘い声。

しかし、急に振り返ったその男性の顔を見た私は固まった。

「どうして・・・?」

私が見ている事に気付いた男性も、私を見て唖然としていた。脇目も振らずに私に近付いて来ようとしたが、同伴者に腕を掴まれて引き止められている。

同伴者は、金髪碧眼の少し気が強そうな貴族令嬢。しかし、その腕を振り払うと、かなり驚いた顔をしては私の方に視線を向けて来た。

思わず怯んだ私だったが、髪を撫で変わらない優しい穏やかな笑みを見せてくれる彼。私にも同伴者がいた事に、驚いた顔をしている男性。

「私だけを見て?」
「ルクター様・・・。」
「さ、行こうか。」

彼らに背を向けた私たちだったが、確かに私の名を呼ぶ声が聞こえた。それでも、私たちは立ち止まらなかった。早々に馬車に乗り込み、大きく息を吐きだした。

「色男だ・・・。」
「ルクター様がですか?知っていますよ?」
「あ、いや、あの男のことだけど。」
「確かに、あんな見目の人が地味な私とどうしてとは思ってはいました。結果的に、いいように扱えるからって理由でしたけど。でも、どうして・・・。」

異世界転生というのは、前世で死なないと出来ないものだ。ということは、あの人も前世で死んだ?何故?

考え込む私の身体が浮かび上がり、彼の膝の上に乗せられた。そう言えば、彼は魔法使いで魔法を教えている先生だった。そんな事すら忘れていた。

「あ、あの・・・どう・・・っ!!?んっ、ルク・・・。」

深いキスをされた後、彼を見れば少し面白く無さそうな顔をしていた。

「どういう理由にしろ、あまり私を妬かせない方がいい。」

あちこちにキスされ、再び深いキスをされた。

「さ、気を取り直して次だ。」

窓から外を見ると、大きな建物に到着した。どうやら、王都の図書館らしい。この世界の事を知る為にもと、彼が案内してくれた。

彼にエスコートされ、史実などの書物を見せてくれた。

「それで、ルクター様。どうして私を見ているのですか?」
「私が私の妻の顔を見る理由か?そんなの愛しているからに決まっているだろう?」
「答えになっていません。」
「明確で立派なこれ以上ない理由だと思うけど。」




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