• テキストサイズ

その琥珀色の瞳に映るのは・・・

第2章 推しからの求婚が止まりません


ゲームの中でも、こんな熱心な彼はいなかった。ヒロインが押して押してのお付き合いの始まりだった。何か・・・どうしていいのか分からない。

前世には男性とのお付き合いでいい思い出なんかなかったから・・・本音を言えば、少し怖い。彼のことは好きだ。でも、もし・・・あんな自意識過剰でモラハラやパワハラ・・・いや、彼はそんな人じゃない。

ヒロインとのお付き合いだって、最初は頑なに教師だからと断っていたんだ。でも、ヒロインは一生懸命だった。もう少ししたら、ヒロインが彼を選択したら・・・私なんて、存在価値などないかもしれない。

そうなった時、もうここにはいられない。ヒロインと仲睦まじくしている彼を見るのは辛い。でも、だからと言って、ヒロインを蹴落としてなんて出来ない。

「また、その様な表情を・・・。」
「えっ?」
「不安で怖くて、どうしていいか分からない・・・そんな表情です。」
「それは・・・。」
「異世界から来たばかりで、心を寄せる誰かもいない。不安も得も言われぬ恐怖もどうしていいのか分からないという気持ち全て、私に預けませんか?私では、貴女の心の拠り所になりませんか?」
「私が現れなかったら、出会っていた人と愛し合う可能性があったかもしれないとは思いませんか?」
「思いませんね。貴女がいなければ、きっと貴族として家の為に結婚はしていたでしょう。ですが、そこに私の愛はありません。私は貴女がいいのですから。」

ヒロインとは・・・。ヒロインの気持ちに折れたってところだった。そこに彼の愛があったかなんてわからない。

「き、気になる人とか・・・。」
「いませんね。私もこの容姿がどう世間一般で思われているか分かってはいるつもりです。ですが、こうして貴女と出会えた。一人の男として、欲しいと思った初めての女性に何としてでも必要とされたい。他の男になど渡したくない。」

こんな熱い人だったっけ?出会ったばかりだというのに。こんな貪欲に愛を乞う人だったっけ?

戸惑う私の頭に、そっと触れた手。驚いて見上げれば、熱の籠った眼差しと視線がぶつかった。心の中でアワアワしている私を他所に、その触れた手が頬へと。

「覚悟しておいてください。」

それは妖艶で、ゲームでは見なかった色気の溢れた微笑みと甘い声だった。
/ 37ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp