第6章 逢瀬その6
二人はそう話すと笑ってしまったのだ。
「おつまみは何が食べたい?」
「ソーセージとかチーズとかいいですね…」
「じゃ、それを見繕ってもらおうか?」
「はい」
中嶋がボーイを呼んでオーダーをしてくれた。
程なくして、ビールとワインが運ばれてきた。
「再会に乾杯~」
二人はそう言うと乾杯をして飲み始めた。
「で、山下さんは、旦那さんと上手くいてるの?」
「それが、ダメなんです…」
「何がダメなんだい?」
「私のところセックスレスなんですよ…」
「え?そうだったのか?それは寂しすぎるな…」
「はい、寂しいです…」
「結婚して何年になるの?」
「もうかれこれ5年ちょっとですね」
「5年かぁ、悩ましいな…」
「……」
美智はその言葉を聞くと黙ってしまった。
そんな話をしているととても寂しくなってきたのだ。
本当は夫の龍一と飲みに来たかったのに…と、心の中で美智は思っていた。
美智はグラスワインを一気に飲み干した。