第1章 逢瀬その1
磯田はそう話すと車を出した。
車は滑るように246を横浜方面に走ってゆく。
深夜の道路は空いていた。
程なくして、美智の家の近くまで車は来てしまった。
ご近所の人に見られたら困ると思ったので、家の近くのバス停で車を停めた。
「今日はありがとう」
「いや、どーいたしまして」
磯田はそう言うと笑って見せた。
尚も話始める。
「俺たちお互い結婚してる訳じゃん?だからお互いの家庭は壊さないって約束してくれる?」
「ええ、もちろん」
「なら、良かった」
磯田はそう話すと美智を抱き寄せキスをしてきた。
まったりとした舌を思いっきり絡ませてくるキスだった。
美智はこのキスで身体が熱くなるのを感じていた。
今夜、この磯田とセックスがしたいと思っていた。
そのことを単刀直入に聞いてみたのだ。
「なぜ、今夜はキスだけなの?」
「俺は初めて会った女性とはセックスはしない主義なんだ」
そう話すと笑うのだ。
美智はちょっとがっかりしてしまった。
この日、二人は何事もなく家路に着いたのである。