第4章 逢瀬その4
小林はソファーに腰かけた。
美智はキッチンでお茶の用意をしていた。
「小林さん、コーヒーでいいかしら?」
「ええ、コーヒーで構いません」
それを聞くと美智は豆を挽きコーヒーをドリップで落としていった。
部屋にはコーヒーの良い香りが漂っていた。
美智はコーヒーをカップに入れるとそれを小林がいるリビングに持っていった。
「さぁ、どうぞ…」
「ありがとう」
そう話すと二人はコーヒーを飲み始めた。
小林が話始める。
「あなたの小説を読んですごく興味が湧いちゃって…我慢しきれなくて会いに来ちゃいました」
「ありがとう。で、小林さんは独身なの?」
「いや、嫁がいます。子供はいないです。でも、僕のところもセックスレスなんだよ…」
「そうなのね。私と同じだわ…」
そう話すと二人は黙ってしまった。
美智は間が持たないと感じると突然立ち上がりキッチンへと行った。
その後を小林が追いかけてきた。
美智はシンクに手をついて立っていた。
その後ろから小林が抱きかかえるように美智の身体を抱きしめてきた。
今日の美智は紺色の生地で花柄が描いてあるワンピースを着ていた。
「や、やめて…」