第4章 逢瀬その4
ベッドルームはひとつでいつも美智と龍一は一緒の寝室で眠っている。
しかし、この二人はセックスレスだったのだ。
美智は毎晩とても寂しい思いをしていた。
小林はこの美智の寂しさを感じ取っているかのようだった。
美智も半分誘っている状態だったのだ。
「今晩、私に会いに来る?」
「行ってもいいの?」
「いいわ。住所は知ってるでしょ?」
「ああ、知ってる。ナビで直ぐに探せるよ…じゃ、これから行くから…」
美智のマンションは5階建てで部屋は303号室だった。
電話が切れてから20分もしなかっただろうか。
美智の家のインターホンが鳴る。
「どちらさま?」
「小林ですけど?」
「あら。早いこと…」
美智はそう言うとマンションのドアを開けた。
そこにはちょっと小柄で痩せた男性が立っていた。
「初めまして。小林です。あなたのファンです!!」
「初めまして。花柳です。さ、入ってください」
そう美智は言うと小林を家に招き入れた。
リビングは14帖ほどあり、そこには二人掛けの白いソファーとローテーブルが置かれていた。