第3章 逢瀬その3
「ええ、佐藤です。よろしく」
「よろしくお願いします」
「さ、乗ってください」
「は、はい」
そう佐藤に促されると美智は車に乗った。
佐藤の車はBMWの7クラスである。
昔のBMWの7クラスとはかなり大きな車だったが、最近ではかなりコンパクトになっている。
「花柳さん、何を食べたいですか?」
季節は寒い冬である。
美智はこう話した。
「かにが食べたいです」
「かにですか。季節ですからね。じゃ、かに道楽にでも行きますか」
「はい…」
そんな会話があり二人はかに道楽へ行くことになった。
佐藤は新宿にあるかに道楽へと車を走らせた。
店に着くと和服を着た係の女性が話しかけてきた。
「いらっしゃいませ。お客様、お二人ですか?」
「ああ、二人だよ。部屋は空いてるかぃ?
「はい、空いております。ただ今、ご案内させて頂きます」
その女性はそう言うとかなり大きな部屋に案内してくれた。
平日の昼間だったので店にはほとんどお客はいなかった。