第4章 優柔と懐柔
少年の子供らしからぬ言動や、ふとした瞬間に低くなる声のトーンと雰囲気が、ずっと謎だった。
もしも身体の小さくなる薬が、実際にあるのだとすれば。
右手の人差し指を弾いて、ズビシッとコナンに向けた。
『もしかして、コナン君も小さくなる薬飲んじゃった?』
軽いノリで言い放つ言葉に、コナンは固まり、灰原は肩で微笑っている。
『なーん…ちゃ…、って…………』
「…………………」
『謎はとけたっ…て、やつかしら…』
「正解よ」
の感覚に観念して、コナンは正体を明かした。
灰原が大丈夫だと言うなら、信用するしかない。
その上で、に協力者としての頼み事をする。
『協力者ね…、私が役に立てる事なんて無さそうな気もするけど、私自身が狙われているし』
「さんの感覚に頼る事があるかもしれない」
『そう言ってもらえると…、あとは肉体的に守れる事はあるかもね!…機会があれば』
頭脳があれど身体はちんまりとした少年と少女だ、もしもの時があれば助けようとは思った。
「それと、痕跡を残させないためにもここで会うのは今日が最初で最後になる」
『わかったわ』
「ミスティー…、さんて呼べばいいかしら」
『でいいよ』
「まだ記憶が戻っていないなら何を言っているか分からないと思うけど…」
灰原はうつむきがちに話す。
『?』
「一科学者だった私は、何も出来なかったわ。ごめんなさい」
『薬はね、自分の意志で飲んだの。それに薬を作ってもらったんでしょう。助かったのよ、ありがとう』
あの場では、薬を飲まざるを得ない状況に陥っていた。
あの状況に至った原因はまだ知り得ないけれど。
「私の知る限りで、話はでき『それは大丈夫、ありがとう。情報で埋めるより自分で取り戻したい。戻るかはわからないけど…』
「そう、あなたらしくて私は好きよ」
少女の笑みは、包み込むように優しいものだった。
『私…あなたとはこれからも話したい。許されるなら…』
奇しくも、灰原がシェリーだった頃に、同じ言葉をに告げられていた。