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【名探偵コナン】Redo*misty【降谷 零】

第4章 優柔と懐柔


トイレにつっぷしたまま数分。
吐き気も落ち着いて、口をゆすいだ。
レストルームの鏡に映る自身の顔は、夢でのことを体現したのではないかと思えるほど顔面蒼白だった。
水を口に含んで、飲み干して、手の甲で拭う。

リビングに戻ると、赤井が帰宅していた。
の様子に驚いて、まずは辺を警戒しはじめた。

『平気、誰もいない…。夢が…、ううん、ちゃんと話す』

激しい頭痛で目覚めて、脳に映像が流れはじめた。
穴だらけの場所にパズルのピースがはまるように、それを記憶として認識できるようになった、と説明をした。

『それで、さっきの夢…』

夢に見たものは、まるでフラッシュバックだと伝える。
その夢の中には赤井がいたことも。

『これは記憶?』
「その男は、ジン」、と言いかけたところで、は再び額を抑えた。

『っ、ちょっ…待って…、頭……、痛っ』

耐えきれずにその場でうずくまった。
いましがた説明したばかりだと言うのに、頭の中には再び映像が流れはじめた。
夢に見たものと同じ映像だけれど、霞かかった顔は鮮明になった。
赤井はに駆け寄って背中をさすった。

『男の顔…、みえた…』

は背筋が凍ってしまいそうな、恐怖がこみ上げて震えをおさえられなかった。
縋るように赤井に抱きついた。

『黒のポルシェ・356Aの男…、私に注射を打った…』
「思い出したのか…」

赤井は震えるを抱き返した。
赤井の中では取り戻さなくても良いと思えるほどに、にとっては辛い記憶だ。

『この男が…ジン…?』
「銀の長髪で、深緑の瞳だったか?」

こくりと頷いた。

『注射器…片手に怒っているかと思ったのに…、あの男は笑ってた……、っう…、っうぇっ…、ぎぼぢわる…』

口を手で抑えるを、赤井は負担の掛からないように迅速に抱きあげて、可及的速やかにトイレまで走った。
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