第4章 優柔と懐柔
「あらためて、さん!あなたの身柄は私達FBIが守るから安心してね!」
『ご迷惑をおかけします』
「誰にも手出しはさせないわ!もちろん彼にもね!」
彼とは、おそらく降谷のことだろう。
はジョディの目を見据えた。
『でも…彼は私を殺さないですよ』
「…すごい自信ね。根拠は何かしら?」
『彼が私を信じているから』
そうでなければ秘密を打ち明けられることもなかった。
の不思議な言い回しに、ジョディは首を傾げた。
「あなたが彼を、じゃないのね」
これではずぶずぶな関係だと言っているようなものだけど、これくらいは許して欲しい。
ジョディは苦笑をし、沖矢に目線を移す。
沖矢は表情を変えなかった。
公安である事を話したのは、絶対的な信頼が私なり"私"にあったからだ。
あの列車の件以外で、彼を疑うべき事柄はない。
ジョディは事前にという人物像の情報は耳にしていた。
記憶を失う前と後、沖矢の正体を見抜いた洞察力や、俊敏で身体能力も高いこと、それと我が強い人間であること。
ジョディは小さく息を吐いた。
「…組織に狙われている以上は彼とも会わせる事はできないわ」
『わかっています。立場は理解しています』
「助かるわ。大人しく守られていて」
『はい、よろしくお願いします』
「また顔を出すわね、その時にでもゆっくり話しましょう」と言い残し、ジョディ達は工藤邸を後にした。
見送りに行った沖矢がリビングに戻ると、おもむろにの腕を掴んだ。
『…何?』
「随分と盲信的に見えたもので」
『そんなんじゃない』
「なぜそこまで…」
愛しているから、なんて陳腐な台詞は吐かない。
「…?」
『あなた達の言葉を借りれば"話せない"ってとこね?』
意趣返しと言わんばかりにふふんと不敵に笑うに、沖矢は肩を竦めた。