第3章 予兆と微票。
では、あの手紙の送り主は。
バッグの中を確認すると、あの手紙は残されていた。
『この手紙は、誰が私に送りつけたかわかる?』
封筒の中身のメッセージカードをテーブルに置いた。
「おそらく、ベルモットだろう」
「さんを消そうとしたのかもしれないね」
自身が狙われたのと同じように、降谷もあの女性を捕らえて消すつもりだったのだろうか。
そんなことは想像すらしたくない。
『あの女性は…』
手違いで貨物車には爆弾が仕掛けられていると言っていたし、それにあの爆発だ。
顔も知らない女性の安否が気にかかる。
「無事だよ。彼女も、安室さんも」
『そう…』
無事なら良かった。
そういえば、コナンは巻き込んだと言っていた。
コナンとあの女性は知人なのかもしれないし、更に降谷とは組織の話をしていた。
『あの女性とコナン君は知り合いなの?』
「…うん」
『彼女も組織の人間なの?』
「元、だね。さんと同じだと思うよ」
同じ組織に狙われる、似た立場の女性。
『その人に会うことはできない?』
「うん、ごめん。それはできない」
『そう…』
そういう事情なのかもしれない。
彼女もきっとどこかで保護をされているのだろうか。
それなら自身も、これからどう過ごせば良いのか身の振り方を考える必要がある。
組織の人間と鉢合わせをしてしまった以上、降谷との接触は避けるべきだ。
彼の足枷になる可能性があるし、その逆もまた然り。
残された選択肢はふたつ。
1人でどこかに身を隠すか、あるいは。
『…私は、これからどうすればいい?』
彼らに保護をされること。
「FBI協力の元、ここで保護をされるのが一番安全だよ」
「ここはセキュリティ面も備わっている」
「それに、昴さんもいるしね」
確かに、沖矢がいれば強固なボディーガードになってくれると思う。
列車の時といい、全く刃が立たなかったのは悔しいけれど事実だ。
でも、見知らぬ男と同居生活となると、一抹の不安はある。
好きあらば唇を奪ってくる男だ。
訝しげに沖矢を見るけれど、本人はどこ吹く風だ。
「さんを危険な目には合わせないって約束するよ。生活面もこっちでサポートするから安心して」
『ありがとう。それでは、お世話になります』
自我を通すのもここらが潮時だ、は深々と頭を下げた。