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【名探偵コナン】Redo*misty【降谷 零】

第4章 優柔と懐柔


あれから2日、3日と経過したけれど、降谷からの音沙汰は変わらず。
外出ができなくても、生活に困ることはなかった。
これもの保護を公安にうつすための準備だったのかもしれない。
冷蔵庫には食材は揃っていたし、備蓄も豊富だった。
どんな思いで、と思えば溜息がこぼれる。

そしてとうとう1週間を迎えてしまった。
シャワーは浴びれるようになったし、身体もそれなりに動かせるようになった。
まずはポアロへ挨拶をしに行こう。
降谷の近況も何かしら得られるかもしれない。

ハイネックのニットに、カーゴパンツはブーツイン。
念の為にショルダーホルスターに拳銃を装備して、ジャケットを羽織った。
スカートはまだ履けないから、レッグホルスターはしばらくお休みだ。
髪の毛を束ねてキャスケットにしまいこんだ。

玄関から出てしまえば、おそらく外出することが知られてしまう。
ベランダの監視カメラは2台、その目を欺くのはにとって安易なことだ。

『少し詰めが甘かったね』

そして、玄関ではなくベランダを伝って非常階段から降りた。

久しぶりの愛車に乗り込んでエンジンを掛けると、すんなりとかかった。
彼が定期的にエンジンを掛けてくれていたのかもしれない。
そこかしこに降谷の名残を感じる。

ポアロの途中にある紅茶専門店で、心ばかりのお詫びに茶葉と焼き菓子を購入した。
すぐに帰るつもりで、ポアロ前の路上に駐車する。

街路沿いの大きい窓からポアロの店内が見えた。
カウンターには梓と、降谷が居た。
しばらく休業と聞いていたけれど、1週間も経過しているから、出勤していても不思議ではなかった。

足を運ぶ前に確認すれば良かったと後悔する。
彼はカウンターの中でいつも通りの、安室透だ。

『あぁ、そっか…』

彼は彼の日常に戻ったのかもしれない。
冷静に考えてみれば、わかることだ。
交渉材料の価値もない、裏切った女なんかいなくても不都合はない。
自分の立場を忘れていたわけではないけれど、どこかに自惚れがあった。

『私がいなくても…』

自身に歯をたてながらも抱いた、それが最後になるのか。

は紙袋を花壇の上に置いた。
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