第4章 優柔と懐柔
が気を失っても、降谷はその行為をやめなかった。
無数の咬み痕を残し、悪いものに取り憑かれでもしたように何度も何度もの中へ精を吐き捨てた。
数え切れない、何度目かの薄い吐精で、我に返った。
汗と涙でぐちゃぐちゃになった顔と髪、下唇は少し切れていた。
そして、身体には痛々しいほどに無数の噛み痕が散らばり、血を滲ませている。
取り返しのつかないことを、してしまった。
降谷は自身のしでかした惨状に、目が眩んだ。
怒りに駆られ、我を忘れ、を虐げた。
手錠を外すと、手首にも擦り傷があった。
お湯とタオルと薬箱を持ってきて、顔を拭って、傷口も清潔な清浄綿で拭き取ってから手当をした。
が儚く呻き声を上げるたびに、己の愚かさを呪った。
バスローブでを包んでから、ソファーへそっと移動させた。
シーツを変えて、を寝かせる。
サイドテーブルにミネラルウォーターと、痛み止め、アフターピルを置いて家を出た。
自身の残虐性に失望し、それを向けてしまったことを後悔してもしきれなかった。
は「戻れない」と言っていたけれど、降谷もまたの元へ戻ることができなくなってしまった。
車に乗り込んで、明け方まであてもなく走り続けた。