【NARUTO】Break&Peace ⑵【うちはオビト】
第9章 Dawn30.相思と相愛
鈴(な、んで…?)
その方向にいる人間に心臓が飛び出そうなほど驚き、声が出そうになるのをとっさに手で口を押さえて止めた。
赤雲の外套に、紺の髪、顔の右半分に傷痕、真っ赤な瞳ーー…
リンはイタチの顔を見上げ、彼の顔色をうかがう。
鼬「今なら…あいつに会える」
イタチは消えそうな声でつぶやいたが、リンはその言葉に驚いた。
鈴「でも…!でも私は……」
鼬「………」
イタチは黙って暗い顔で足元を見つめるだけだった。
鈴「なんでそんなこと言うの…。私…もう一人になりたくない」
リンは必死に手を握りしめ、涙がこぼれ落ちないように懸命にこらえる。
リンには彼の次の言葉がわかっていた。
"自己犠牲こそ忍の在り方"だと謳うイタチだからこそ、彼は自分の想いをも犠牲にするのだろうとーー…
鈴「…っ、イタチさんッ」
リンはイタチの胸元に泣きそうな顔を埋めた。
イタチの心臓がとくんと鳴る。
自分の愛する人が肩を震わせているのが全身に伝わる。
鼬「リン…」
イタチは両腕を広げ、小さなリンの背中に腕をまわすーー…
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