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【夏目友人帳】海底の三日月

第3章 昏蒙のアリス 後編


「さて、これからどうするか考えてみましたか?」
的場さんは南京錠を開けながら笑顔で尋ねる。
「…どんな、選択肢があるんですか?」
質問に質問で返すのは失礼かと思いながらも、極力反抗的に聞こえないように配慮して尋ねる。
「そうですね…選択肢は3つくらいにしておきますか。1つ目は逃げないと誓って、学校に行ったり外部の人との交流を持ったりといったある程度の自由を手に入れる」
扉を開けて格子の内側に入ってきた彼は、私に見えるように親指を折る。
「2つ目は、誓わずに気が済むまで抵抗する」
折った親指の上に人差し指を折って見せる。
「まぁこちらもあまり抵抗されるのは面倒なので、早く抵抗する気がなくなるようそれなりの方法を取らせていただきますね」
それなりの方法が何なのかは、聞かない方がいい気がした。
「3つ目は、昨日鬼ごっこの2回戦とでもしましょうか。見事逃げおおせたら、自由にして下さって結構です。ちなみに追うのは私ではなく、式たちです。警察に通報されると、困りはしませんが面倒ですから」
「……」
的場さんはにこやかに中指を折って見せる。
それは、鬼ごっこではなく、『狩り』だ…。
「捕まった時点で、選択肢1か2を再度選んでいただく道は残しておきましょう」
「……」
それでは結局、選択肢がないのと一緒…。
そもそも、逃げても行く場所がない。
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