第3章 昏蒙のアリス 後編
また、眠ってしまっていたようだ。
夢を見ていた。
久しぶりに、胸の痛くならない夢を見た。
緊張しているけれど、安心している夢。
温かい思い出。
魔法使いの夢。
起き上がると、先ほどと別のお膳がある。
『昼食です。お粥にしてみました。しばらくしたら、お膳を下げに参ります。』
同じ筆跡。
もう昼食。
もうすぐ夕方…的場さんが帰ってくる…
何もしないと悶々と考え込んでしまうので、木札並べを再開する。
次は43番目。
あの人はたぶん、嘘のない人だ。
嘘はつくけれど、嘘のない人。
怖い人だけれど、悪意はない。
いくらでも嘘をついて私を丸め込むことができるのに、それをしない。
だからこそ、脅されているんだけれど…。
どうすべきかは、わからない。
どうしたいかも、わからない。
私はあの駅名を知っている。
私は、あの人を知っている…