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【夏目友人帳】海底の三日月

第2章 昏蒙のアリス 前編


塀と通用口の感じから、裏路地にでも出ると思っていたけれど、庭の外は林なのか森なのか木が茂っている。
見える範囲に家はない。
「銀三郎」
自分の影に声をかけると、影の頭に猫の耳が1秒だけ見えた。
知らない森に分け入る勇気はない。まずは通りに出るために塀に沿って進むべきだけど、どちらに進むべきかはわからない。
「右、左、どっちに行けばいいの?」
うちの猫は姿は消せるけれど、道を教えてはくれない。
時計を持ったウサギもいない。
そもそもどこに行きたいのかわからない人に教える道はない。
とりあえず、左に進むと決めて塀に沿って走る。
大きなお屋敷だと思ったけれど、敷地も広い。
門より前に通りが見えればいいけど…。

息が切れてきた頃、道が見えた。
と思ったら、塀の内側から白面の妖怪の頭がぬっと出てきた。
首伸びる系の妖怪!と驚いている場合ではないので、慌てて塀から離れて、通りに出て屋敷から離れる方向に走り出す。
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