第1章 episode.1 重なる偶然
「…彼に電話してみたら…こっちで新しい恋人が出来たから無理、とか…そんな急に来られても困るって…言われて…」
女性は、グスン、と涙を流し始めてしまった。
…おいおい。
俺はしばらくどうしたものかと考えあぐねたが…
「今夜の宿は?」
思わず尋ねてしまった。
「…宿…?……彼のうちに泊めてもらうつもりだったから…」
「とってないんだな。」
「はい…」
俺は思わずため息をついて。
「ひとまず今夜は俺の所に来るか」
これが……この目元を腫らした、俺の好みとは真逆の少女との始まりだった。