第4章 episode.4 デート?
うーん?とシュウさんの口元を見つめながら首を傾げていたら、丁度車が信号待ちで止まって。
「ほら」
と、シュウさんがルームミラーを動かしてくる。
ちょっと身を乗り出して、私の顔と並ぶように近寄って来たので。
私もルームミラーを見ながら、ぐっとシュウさんの方へ体を寄せた。
顔を並べて、ルームミラーに2人で映り込む。
「小さいだろ。こうして見ると、俺の半分しかない」
「えっ、シュウさんが大きいんじゃなくって?」
「いや、ユリが小さいんだろ」
うーん?と2人揃って首を傾げて。
そのまま、どちらともなくスッとお互いに向き合って。
ミラー越しにではなく、直接間近で口元を見つめた。
なんとなく見つめ合ってしまったけど…
うわ!顔ちかい!
話の流れとはいえ、私たち達こんなに近付いてたのか!気付かなかった!
シュウさんも同じように思ったのか、鋭いグリーンの瞳を珍しくまんまるにして。
パッとお互い同じタイミングで、慌てて体を離した。
「悪い…話に夢中になって」
「あ、いや私もです…」
丁度、信号が青に変わったので…。
シュウさんは慌てて車を発信させていた。
少しだけ、動揺したように辺りをキョロキョロしているシュウさんが珍しかった。
ちょっぴり恥ずかしくてムズムズした気持ちを抱えながら…
しばらく車を走らせた後、すっかりコーヒーも飲み終わった頃に、とある大きな建物に辿り着いた。
そこは…立派な石造の建物。
車を降りて、目を見開いて見上げた。
「なんですか…?ここ」
「美術館だ」
へえ…ずいぶん大きいし、アメリカでは有名な場所なんだろうか。
「まあ、観光スポットでもあるし、俺も気に入ってる場所だからな」
「そうなんですか」
「ああ。それに君、ワイワイ騒がしい場所よりこういう静かな場所でゆっくり過ごす方が合ってそうだと思ってな」
確かに…。
普段から、大勢でわちゃわちゃと飲みに行ったり、騒がしい場所より…自然の中をお散歩したり、綺麗な景色を見に行ったりする方が好きだもんな。
「…よくわかりましたね」
「わかった…というか、うーん…」
シュウさんが、珍しく言葉を詰まらせて。
そして少し口篭ってから。
「俺が、そういう子だといいな。と勝手に思ったのもある。俺の好みと合うといいな…と。」
「…はあ。」
…ん?
どういう意味?