第4章 episode.4 デート?
「…なんて言ってたんですか、ご近所さん…」
流石に気になって聞いてみたら、シュウさんは少し考えるような素振りをしてから。
「デートか、と聞かれた」
えっ!?
「で、デート!?」
「ああ。」
「な、なんて答えたんですか…っ」
「そうだと答えた。」
「ええっ!?」
シュウさんってば…顔色変えずに前をスタコラ歩いていく…。自分が何を言っているかわかっているのかな…
あっという間に、車を置いているガレージに着いちゃうし…。
派手で真っ赤な車にたどり着くと、彼は「乗っていいぞ」と言いながら運転席に乗り込んでしまった。
慌てて追いかけるように助手席に座る。
「シュウさん…」
「ん。」
シュウさんが車のエンジンをかけて、シートベルトをして。その動作を真似するみたいに私もシートベルトをしながらポソリと尋ねる。
「…これって…デート、なんですか…?」
お、思わず…
気になりすぎて聞いちゃった…!
きっとね、多分ね…シュウさんは、そんなつもりなんて微塵もなくて。
おそらく否定したところでどんな関係なのか聞かれたり、どこにいくのかと一々説明するのも面倒だったからとりあえず肯定して話を終わらせただけ…とかだと思うんだよね…。
でも、ちょっとだけ…もしかしたらと思ってしまって。
って、うう…何考えてるんだろう、なに余計なこと聞いているんだろう…私。
と多少の後悔もしつつ…彼の返事を待てば。
「即席デートプランだがな。ゴージャスなレストランなんてのは予約してないから、その辺は期待するなよ。」
と…またもや意外すぎる回答が返ってきた。
え…!?
よ、予想外すぎる…
なんて返したらいいか分からない…思わずシートベルトの金具を持ったまま固まってしまった。
これがアメリカの人ならではの雰囲気なのかな…お国柄、いちいち半分ジョーク混じりなのかな!?
本気なのか冗談なのか…ぜんっぜんわからない…
私が硬直してしまった事に気付いたのか、彼はふいに助手席に座る私を見て。
ふ、と小さく笑う。
「どうした。顔が赤いぞ」
だ、誰のせいよ…
「な、なんでもないです」
「出すぞ。いいか」
「…はい……よ、宜しくお願いします。」
「了解」
ブオン、と…少々大きなエンジン音を立てて、車が発進した。