第4章 episode.4 デート?
身支度を整えて、朝ごはんを作る。
メニューはシンプルなものにした。
手の込んだものは…シュウさんの好みを把握してからにしようと思って。
あと5分くらい、スープを煮込んだら出来上がりかな。
そう思った時に、丁度ガチャリとリビングの扉が開いた。
「…早いな。」
寝起きなのか、一段と低くなった声。
シュウさんはルームウエアのままリビングに姿を現した。
少し寝癖がついてる。後ろ髪、ピョコンって。
「ふふふ、おはようございます」
思わず笑ってしまったら、彼は不思議そうに首をかしげるので。
私は、自分の頭を指さして。彼の髪が跳ねているところと同じような場所を示した。
「…?」
なんだろう?とシュウさんは自分の頭に触れて、やっと気付いたのかちょっと照れくさそうな顔をして来たばかりの道を戻って行った。
洗面所の方から音がする…。多分、慌てて整えてるんだろうな。
「あはは、シュウさんって結構面白いかもかもしれない」
ついつい独り言が…。
だってさ…出会った頃の、コワモテなお顔でぶっきらぼうな言葉ばかりの彼からは想像がつかないんだもん。
初対面の相手には気を張っているだけで…気を許したらああなのかな?
先程、目が覚めた時は寝顔を見ながらかっこいい、なんて思ったけど。面白い、も見つけてしまった。
10分程して、すっかり身支度を整えて、寝癖を隠すかのようにニット帽を被ってしまったシュウさんが再びリビングに姿を見せた。
そういえば、いつもニット帽を被ってるなぁ。
帽子が好きなのかな。
「朝ごはん、できてますよ」
「ああ…ありがとう。」
2人でダイニングを囲んで。
さあ、いただきます。…って時に。
シュウさんのスマホが音を立てた。
彼は、すまん。と言ってから電話に出る。
…うわ。
英語ペラッペラ。何を話しているのか、ちっともわからない。
てか…シュウさんはずっと私に対して日本語で接してくれているけど…どちらが本当の言葉なんだろう。
そう思いながら、ボンヤリと何を話しているかもわからない声を聞いていた。
しばらくして、通話を終わらせた彼がふう、と息をついて。
「…今日は仕事が夜からになった」
と言う。
…夜から?えっと…夜勤、的な?
「そうなんですか」
中断されてしまった食事を再開しながら返す。
シュウさんも、朝ごはんにようやく手をつけ始めた。