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キューピッドはスーツケース【赤井秀一】

第2章 episode.2  ポトフ






episode.2
 ポトフ


(ユリ side)




はあ………。



今日は人生で一番最悪な1日だった、と言っても過言じゃない


久々に会う大好きな彼氏とラブラブハッピーな10日間!!
…そんな予定だったのに。

ウキウキした心は、彼に突然振られたことで一瞬にしてペシャンコに潰れて。
更に、それだけではない…。
傷付いた心を癒すべく…少しでも早く日本に帰り、実家にでも行ってゆっくりしようかな。…なーんて思いもペシャンコになって。
もう、どん底に落ちたような気持ちでいたのに。

まさかの見ず知らずの外国人…(だよね?…純粋な日本人には見えない)の男性の元で10日間も過ごす事になってしまった。


何でこんな事になってしまったんだろう…。

…いや、しばらく会っていなかった彼に会いたい一心で、盲目になって。
勝手に「サプライズ」なんて言って盛り上がって、彼のうちに泊めてもらう気満々で、宿も取らずに海外へ飛び出した私が完全にバカだった。
今だからそう思うけど。

後悔ばかりしたって仕方ないのだろうけど、ため息が自然と出てくる。


「はぁ…。」


もう、なんて一日…。
いや、実際には時差があるので1日半くらいかな…
へとへとで…しんどい…。

とりあえず…
10日間も、見知らぬ外国の地で…

…どうやって過ごせばいいんだろう…。




「疲れただろう。とりあえずシャワーでも浴びてくるといい」

ローテーブルを挟んだ、向かいのソファから…
優雅にコーヒーカップを片手に、そう言ってくる男性…シュウ、さん…。

この最低最悪な状況の中で、唯一私にとっての救世主…である人。

背が高く、がっちりガタイがいいお兄さん。
コワモテなお顔立ちで…鼻筋がスッと通って堀が深い。
瞳は珍しい緑色をしている。
日本人離れしたその外見からしてもそうだし、多分……こちらに家があると言うことはアメリカのひとなのかな?
…でも日本語ペラペラ。そもそも日本で知り合った人だし?……ハーフ、とかなのかなぁ。
年齢は30代くらいだろうか…多分私より5つくらいは年上に見える。


まあ、いいや…10日間お世話になるだけの関係。

特に知らなくたって、なんの支障もない。


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