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【WIND BREAKER:®️指定】My friend

第1章 ®️彼は何故堕ちたのか




「俺、上手になってない?」


自分が植えたミニトマトの苗を見て、梅宮は嬉しそうにいつきに言った。

いつきはそんな梅宮の笑顔を見て、ニッコリ笑った。



「本当に……もう私が教える事はなさそうですね。」



野菜の苗植えなんて知らなかった。
だけど、梅宮があの日野菜苗を植えたいと言って、いつきは学校の図書室で沢山本を読んだ。



梅宮はいつきのおかげだと言うような顔をしているが、いつきは知っている。

いつきが読んだ本の貸し出しカードには、いつきより先に梅宮の名前が書いてあった。



色んな野菜の育て方の本を、いつきよりも先に、梅宮は読んでいた。
いつきが知っている知識なんて、とっくに知っていたはずだ。




それでも梅宮は、こうしていつきに話かけて聞いてくれる。

それがいつきにはとても嬉しかった。








沢山水を掛けて、2人で植えたミニトマトの苗を黙って見ていた。




「……最近、飲屋街で何か騒動無い?」


ポツリと溢した梅宮の声に、花壇から目を離して梅宮を見上げた。


白髪の髪が風になびいていて、前髪が目に掛かっていても、その表情はよく分かった。




「……最近、オレンジ色のスカジャンを着た人達が目立ちますね……。」


梅宮といつきが住んでいる町は治安があまり良く無かった。



線路を分けて、梅宮が商店街を守っていると聞いていても、線路の反対側の飲屋街に住んでいるいつきにはあまり関係は無かった。




いつきの言葉を聞くと、梅宮の手が拳を握った。
その手を見て、梅宮の拳に目新しい傷を見つける。


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