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【WIND BREAKER:®️指定】My friend

第4章 ®️独り占め出来ない


顔を擦って涙を拭いたとしても、きっと十亀が泣いていた事は兎耳山以外なら気が付いただろう。


しかし、兎耳山は十亀の顔を見ているのか見ていないのか、十亀に近付くのに自分の言いたい事だけを話す。



「……いや……今日はそんな気分じゃ……。」

十亀は戸惑って、兎耳山の誘いを断ろうとする。


戸惑う十亀の腕を兎耳山が掴んだ。




「早く行こうよ!亀ちゃん!!」




初めて会った時、こうして訳も分からずに兎耳山に引っ張られた。
体は小さいのに、凄い力でその手を振り払えなかった。



あの時に、いつきが居たのも分かってたいた。
不安そうな顔で十亀を見るいつきを置いていったのは初めてだった。


それでも、手を振り払わなかったのはー。




十亀が兎耳山について行きたかったからだった。




1人になりたかった。
その気持ちは嘘じゃなかったのに、こうして兎耳山に振り回されるのは嫌いじゃ無い。


むしろ、いつきが居なくなった今、十亀の世界に兎耳山しかいなくなった。




「はー…。ちょっと話聞いてよぉ……。」




そうため息を吐きながら笑って兎耳山に言う十亀に、もう涙は無かった。


十亀は引きずられる様に…。
それでも自分の足で、兎耳山の後をついて行った。















「おかえり………条は?このまま母さんの見舞い行くぞ?」


1人で帰ってきたいつきに、父親は十亀が居ない事に怪訝な顔をした。


「……うん、このまま行こう。」

出かける用意を終えている父親を見て、いつきはそう言った。




「………どうした?」



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