• テキストサイズ

【WIND BREAKER:®️指定】My friend

第4章 ®️独り占め出来ない




私は初恋を選んで、ずっと大切だった幼馴染を手放す。



『今まで通りに出来ない。』



それは十亀が望んだ事では無くて、いつきが望む事だった。

十亀はいつきの為に、その選択をしてくれたのだといつきは分かってる。


神社を出た時に、十亀はいつきとは反対の方向に歩き出した。


いつきはその十亀の背中を見るしか出来なかった。
胸が痛くなっても、彼を引き取れる事はしてはいけないから。




(………最悪だぁ……。)




夏も冬も思い出のあるこの神社で、ずっと好きだった子から振られた。

(何も…ここで……。)


十亀の頭の中に、幼い頃から過ごした夏祭りの光景が浮かんだ。

2人で屋台の店番をして、お駄賃にラムネ瓶を貰って。
少ないお小遣いで2人でお祭りを回った。



冬はやっぱりこうして一緒に初詣に来て、いつきの母親が病気になってからは、十亀は彼女が良くなるように、それしか願わなかった。



他にいつきが笑顔になりそうな願い事なんて思い付かなかったから。



でも今年はいつきは願い事が長かった。
きっと彼女の中では、母親の他に梅宮も居たのだろう。


(もうこの神社に来れなくなりそうだなぁ…。)



そう一瞬思ったが、よく考えたらこの飲屋街全てに、十亀はいつきの記憶しかない。

きっと何処で言われようとも、同じ事を思うだろう。



(…おばさん……俺がお見舞い行かなくなったら悲しむだろうなぁ……。
おじさんも…腰大丈夫かなぁ……1人で積込み出来るかなぁ…。)














ああ……。

いつきと会わないと言う事は、そう言う事なんだ。









/ 90ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp