【WIND BREAKER:®️指定】My friend
第4章 ®️独り占め出来ない
2人で会う時間も、十亀は獅子頭の象徴を着ている。
もう、自分が何を言っても十亀は獅子頭連を辞めないだろう。
梅宮が何を言っても、自分だけのモノにならない様に。
十亀もまた、自分の居場所を決めてたのだと、いつきには分かっていた。
パンパン。
「……………。」
参拝が2人の順番になって、2人は目を瞑って願い事をする。
あんまり神頼みをしない十亀は、さっさと願い事を済ませて目を開けた。
横に居るいつきを見ると、いつきはまだ目を瞑っていて、一生懸命何かを願っている様だ。
いつきの目が開くと、2人は参列から離れた。
「いつき、絵馬どうする?」
そんなに願い事があるなら、絵馬も書くだろうと、十亀はいつきに聞いた。
「……いい…、おみくじだけする。」
今度は2人でおみくじの列に並んだ。
「いつきは、何を願ったの?」
あんな一生懸命願ったいつきの願いが知りたい。
「……元旦に願った事と一緒だよ。」
『元旦』と言う言葉を聞いて、十亀は驚いた様にいつきを見た。
いつきは顔を伏せていて、十亀を見ない様にしている様だ。
どうやらいつきは、今が初詣では無い様だ。
「…梅宮と行ったの?」
「うん。」
他の男と初詣を済ませて、願い事も済ましていたいつき。
その事実は思ったより十亀の心を痛ませた。
いつきの順番になり、いつきはおみくじを引いた。
『吉』
良い事も、悪い事も書いてある。
総じてそんなに悪い事は書いていない。
「条は引かないの?」
「……いい…今大凶引く自信あるから……。」