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【WIND BREAKER:®️指定】My friend

第4章 ®️独り占め出来ない


十亀が下に降りてくる音が聞こえたが、いつき達がいるリビングには入って来ないで、そのまま廊下を歩く音が聞こえる。


ドアを開けた位置から、十亀が浴室に入って行ったのが分かった。



「?今からお風呂入るの?条。」
「………………。」

いつきの呟きに、十亀の母親は無言の笑顔だった。


「…今度からはノックして入ってあげてね。」
「あ、はい……。」


十亀の母親は笑顔だったが、何かを察した様にいつきに諭した。

いつきは母親が言っている事の意味は分かっていなかったが、自分が悪い事をした様な気分になった。








「「行ってきます。」」

「いってらっしゃい。」



2人で十亀の家を出ると、昼間の飲屋街を歩いて夏祭りをやっているいつもの神社に向かった。


「条のお母さんからお年玉貰っちゃった。」
「………………。」

嬉しそうにお年玉袋を見せてくるいつきに、先程の事は本当に気付かなかったのだと、十亀は安心した。

この無邪気さのせいで朝から大惨事だったが、もうそれについては何も言わない。






神社の近くまで来ると、夏祭りより人が集まっていた。

特に参拝の列は長かったが、毎年来ている2人にしたら見慣れた光景だった。



2人で並びながら、お年玉は何に使うのかそんな事を話していた。

参拝の列に並んでいると、チラチラと2人を見てくる視線を感じた。



いつきを見ていると言うより、隣の十亀を見ている人が多かった。

理由はすぐに十亀が着ているスカジャンだと分かる。



その視線に少し不安になるが、その頃はもう十亀に獅子頭連の事で何か言う事は無かった。
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