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【WIND BREAKER:®️指定】My friend

第4章 ®️独り占め出来ない





自分は今振られているのだろうか。



だったらこうして抱き締めてくる必要なんか無い。

「……先輩、離して下さい。」



いつきは梅宮の胸を押して体を離した。
突き放されて、梅宮は驚いた様な顔をしている。


「…分かってますから…こんな事しなくていいです。」

そう言って、いつきはまた梅宮から顔を逸らした。
その目にはもう涙は無かった。



「……先輩は大変ですね…こうして女の子泣く度にわざわざ抱き締めてるんですか?」

「……しないよ…いちいち…。」


冷たくいつきが言うと、梅宮も目を伏せてそれに答える。

なら何故今こんな事をしたのか。


そんな質問をしても、いつきが望んだ答えは出てこなそうだ。
梅宮の戸惑った顔を見て、いつきはそんな事を思った。


そして問い詰めるつもりもない。
虚しさが増すだけだから。




「… いつきは…他の子とは違うよ…。」

縛った様な梅宮の声が聞こえた。



その言葉にいつきは梅宮の顔をもう一度見返した。
相変わらず困った顔でそう言う梅宮の顔を見て、今度こそ怒りが湧いた。




「先輩。そう言う中途半端は余計に傷付きます。」

「……分かってるっ…。」

怒りを溜めた声でいつきが言うと、梅宮はため息を吐いて髪をかきあげた。

ため息はこっちが吐きたかった。
その仕草にまた怒りが上がる。



「…… いつきの気持ちに応えられないから突き放さなきゃならないのは分かってるけど……。」

言いづらそうに梅宮は話を続けた。





「いつきに時間作ってって言われたら、俺も会いたくなるんだよ。」







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