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【WIND BREAKER:®️指定】My friend

第3章 私だけの貴方


十亀から思いもよらなかったプレゼントを貰って、嬉しいと思った反面とても辛くなった。


(私も条に渡したいのに……。)


十亀から貰ったプレゼントは本当に嬉しかった。
自分も同じ気持ちだったと、十亀に伝えたくなる。



だけどいつきは何気に買ったのだ。

クリスマス会のプレゼントを買う高揚感で、十亀に似合いそうなマフラーを見つけて、衝動的に買った。


でもきっと十亀は違う。

このプレゼントの意味も、渡した時の表情も、全てがいつきを好きだと言っている。


だから期待させて自分のプレゼントを渡す事なんて、余計にできないと思ったのだ。




だけどマフラーを着けて笑った十亀の顔を見て、そんな事どうでも良くなった。


改めて十亀から貰った手袋をはめて十亀を見上げた。


「……よくプレゼント買ったって分かったね。」
「ははっ違ったら、太ったねって言ってたよぉ。」
「ひどい。」


揶揄う十亀の腕をいつきは軽く叩いた。

その手をまた、十亀が掴んだ。



「……やっぱりキスしていい?」

真っ直ぐに自分を見て、そう言う十亀にいつきは目を細めた。



「…無理。」
「なんで?」
「……知り合いばかりだよ……。」


ここは飲屋街のど真ん中。
そんな場所でキスなんかしたら、あっという間にご近所の噂の的だ。



「……手を繋いで歩いてただけで、みんな察してくれると思うよぉ。」


それは確かにそうだな。
小さい町だ、すぐに噂になりそうだ。


「いつき。」

十亀はいつきの名前を呼ぶと、そのまま手を繋いで歩き出す。


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