【WIND BREAKER:®️指定】My friend
第3章 私だけの貴方
赤と白の毛糸で、雪の結晶が編まれていた手袋を見て、いつきは本当に可愛いと思ったから、嬉しそうに目を細めた。
いつきは貰ったプレゼントに釘付けだったが、そんないつきの顔を見下ろす十亀の顔もまた同じ様に嬉しそうに目を細めている。
いつきにクリスマスプレゼントを買いたいから、いつきの家で手伝いをしていたのだから。
想像通りのいつきの笑顔が見れて、十亀は満足していた。
しばらくプレゼントを嬉しそうに見ていたいつきの目が少し伏せた。
「……………………。」
笑顔が消えたいつきをまた、十亀も黙って見下ろす。
「……凄く嬉しいよ条、はめていい?」
そう言って手袋をはめようとするいつきの手を十亀は掴んだ。
驚いた様に、いつきは十亀を見上げる。
「……その前に…、俺にもプレゼント頂戴…。」
「え?」
十亀はそう言うと、スッと顔をいつきに近づけた。
キスされると思ったから、いつきは咄嗟に十亀の唇に手を押し付けて、それを拒否した。
「………………。」
手が出てしまってから、いつきから罪悪感の気持ちが生まれる。
十亀が嫌な思いをしないか顔を見て確認すると、十亀は意外にも笑っていた。
「……どっちでもいいよぉ、キスでも……隠してるプレゼントでも。」
ニヤッと笑って十亀はいつきの胸元を指差した。
いつきもまた、十亀へのクリスマスプレゼントを隠していたのだ。
「あっ……いやっ…これは……。」
顔を真っ赤にして挙動不審になるいつきに、十亀は思わず笑い声が漏れる。