【WIND BREAKER:®️指定】My friend
第3章 私だけの貴方
不思議な気持ちだった。
梅宮とは初めて会った時から、異性として好きだった。
十亀は、ゆっくりと男の人だと認識していって、ある日突然それは心に落ちてくる。
「今年も綺麗だねぇ…。」
十亀が目を細めて見る先は、毎年見る見慣れたクリスマスツリーだった。
飲屋街の道の真ん中に飾られた大きなクリスマスツリー。
イルミネーションがここだけ沢山あって、キラキラ光るクリスマスツリーを、いつきは見上げた。
通り過ぎる人達がたまに足を止めて、ツリーを写真に撮っている。
毎年飾りの変わらないそのツリーは2人にとっては、家のツリーとさほど変わらず、見慣れた光景だった。
しばらく2人で黙って見ていると、握られている手に力が入った。
いつきが顔を上げて十亀を見ると、イルミネーションの光に当てられて笑顔でいつきを見下ろしていた。
「……クリスマスプレゼント…。」
そう言うと、スカジャンの中に隠していた紙袋をいつきに渡した。
「………ありがとう…。」
思い返しても、十亀からクリスマスプレゼントを貰った記憶が無い。
戸惑いながらも、いつきはゆっくりと紙袋を受け取った。
触った感じが柔らかった。
「開けていいよぉ。」
プレゼントの中身にソワソワしているいつきに、十亀は笑って言った。
そんな十亀の言葉に押される様に、いつきは可愛いラッピングを剥がして袋の中身を見た。
「…あ……。」
思わず声が漏れて、袋から出したそれは『手袋』だった。
「……可愛い……。」