【WIND BREAKER:®️指定】My friend
第3章 私だけの貴方
台所で2人で夕食の準備をする。
用意したお惣菜と、十亀が買って来てくれたチキンがテーブルの上に置かれる。
そして、いつきと十亀にはラムネ瓶だ。
当たり前の様に置かれる2本のラムネ瓶に、2人は笑顔になった。
「いつき、昨日のクリスマスパーティーはどうだったのぉ?」
いつきは前の日の夜に、友達に配るプレゼントを一生懸命ラッピングしていた。
特段、特別に買われたと思われるプレゼントは無かった。
友達にしか用意していない。
そんな些細なことに、胸がホッとした。
「楽しかったよー。カラオケ行ってプレゼント交換して。」
思い出しながら改めて楽しそうに笑ういつきに、十亀も嬉しそうに目を細める。
「いつき、カラオケなんて行くのぉ?」
「行くよ?条は行かないの?」
「カラオケには行かないけど、ちょーじ達とボウリングはしたよぉ。」
ボウリング。
自分のカラオケなんかより、条のボウリングの方が珍しい。
「条ボウリング出来るの?」
「普通には出来たよぉ。今度行く?」
それはちょっと行ってみたいなと思った。
いつきは改めて、十亀と長い時間を過ごしていても、まだ全然2人でした事のない経験がいっぱいあると思った。
「…条、スケート出来る?」
「子供の頃に一回行っただけだねぇ。」
「………ふふ……私も。」
きっと2人で行っても下手くそ同人だろうな。
そんな事を考えながら、いつきは十亀の横に座りながら会話に笑みを浮かべる。
「条!!最後の配達手伝って!!」
店の方からいつきの父親の声がした。
「……えー……クリスマスなのにぃ……。」