【WIND BREAKER:®️指定】My friend
第3章 私だけの貴方
きっと、梅宮は今クリスマスプレゼントという大義名分を見つけた。
その梅宮の心情にいつきは更に顔が険しくなる。
どんなに梅宮に気持ちを伝えても、彼はどうやらその行動には理由を付けてくる。
「毎年年末から年明けにかけて商店街にある神社の手伝いするんだ。
そこの神社だったら、時間作れるよ?」
顔は笑っているのに、それがいつきに対しての断りだと分かる。
『自分だけの時間が欲しい。』
そんなお願いしたクリスマスプレゼントですら、どうやら他の人の時間の中から作る様だ。
「……それでいいです…。」
そう笑顔を作ったいつきに、梅宮は目を伏せた。
それでも。
それが梅宮の気持ちだと分かっていても、その時間を作ってくれると言った梅宮の時間を拒否する訳がない。
結局、サンタの梅宮でも、片手間の梅宮でも、みんなの梅宮を好きになったんだ。
「…はは…嬉しいです…。」
そう言って笑う気持ちは本物なのに。
言っていて涙が出そうになる。
いつきはそのまま梅宮から背を向けると歩き始めた。
自分の涙を梅宮に見られない様に。
そんないつきの腕を梅宮が掴んだ。
びっくりした顔で梅宮を見ると、珍しく梅宮のその目が歪んでいた。
「……どうやって連絡取るの?」
「……ああ。」
いつきは慌ててスマホを鞄から出した。
まさか…梅宮から連絡先の交換を提案されるとは思わなかった。
お互いLINEを交換して、ずっと遠くから見ていただけの距離が近づいた様な気がした。
LINEに登録されている梅宮の名前とアイコンが可愛い。
真っ青な空をアイコンにしてある梅宮に、梅宮らしいなと思った。